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ひだまり時代

2007/4/10

先生たちが言うほどおしゃべりをしていたつもりはなかった。 しかし静かにしなさいと言われた瞬間、教室は確かにざわついていた。 繰り返される注意と波のようなおしゃべり、言葉たち。 発生源は誰なのかわからないし、わたしたちに騒々しいという自覚はなかった。
けれども。
大人から見ればそれはやかましいおしゃべりでしかなかったのだろう。ごく自然に生まれた会話の嵐。 多分それは、ただ単純に楽しかったからだ。ひとと話すことの楽しさ。
今はもう、きらきらした会話をすることはほとんどない。例え隣にいたとしても。
箱庭の中、違う人間だと気付かなければよかったのに。数字なんて消えてしまうといい。

怖いから、話せない。うまくいった未来もあったはずなのに。

あなたもそうだったのでしょう?
もう会えなくなることを知っていれば、昨日もっと話していたのにね。

ひとりひとりを訪ねてまわって今すぐ教えてあげたい。怖くないから、こっちにおいで。
隣にいるだけで奇跡のようなもの。だからねぇ、さぁほら。