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金魚

2005/9/30

誰が救ってきたんだか、二匹の金魚は随分と大きくなって、狭い水槽の中をゆらゆらと。
夏の暑い日に、一匹は死んで浮かんで。
それを知ってか知らずか、残された一匹はそれでも悠然と。
おまえは気付いているの? 童話作家が書いたその絵は、本物ではないのよ。
でもわたしは言い切れない。知っているのと知らないのと、どちらが幸せなのだろう。
世の中には誰にとっても不幸でしかない出来事が確かにあって、みんな、 嵐が過ぎるのを待つように、ただ過ぎ去るのを待っている。

これは夢だと、言ってあげられるといいのだけど。