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遺書

2003/6/3

 喩え私がどんな死に方をしたとしても、私の人生は幸せでした。みんなに感謝しています。父さん母さん、それから私の周りにいた人全てに。大嫌いだったあの人にさえ感謝しています。起きた途端に消えてしまって思い出せない夢のように、私は忘れられていくことでしょう。忘れられて構いません。出会った全ての人が私の中に息づいていたように、私もまた、みんなの糧となっていることでしょうから。ありがとう。そしてさようなら。
 引出しの奥から見つかったこれは、中学生の時に私が書いた遺書だ。自殺願望があったわけではなく、この遺書はただ、引出しの奥にそっと仕舞われていただけだった。ニュースを見たのか、小説を読んだのかは覚えていないが、いつかは死んでしまうんだ、と漠然と理解した、その結果。これまでも仕舞われてきたし、これからも仕舞われていくだろうこの紙に綴られた気持ちは、今も変わっていない。