もう四年くらい前に回答したものです。まぁいいか、と思ってデザインもそのまま。まぶしい。

本好きさんに50冊の質問

Q01. 小学校・中学校のころに読んだ、おもしろかった本を2冊教えてください。

■「ズッコケ三人組」シリーズ(那須 正幹)

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小学校のころ一番読んだのは、このシリーズだと思う。 物語となった舞台は、昔住んでいたところだったので、とても愛着を持って読んでいた。 そして話自体がおもしろかった。身近というかなんと言うか。
 最近のは読んでいないけれど、読んだ中で一番好きだったのは「株式会社」というお話。 子供たちだけで儲けようという発想にとてもわくわくしたのを覚えている。

●追記
何だろうね、日常の中の流行から、逆にニュースになるような大事件まで幅広い出来事に出会う主人公達。 慌てたり驚いたり、怒ったり怖がったり、そういう主人公達の行動が、とてもリアリティがあるんだと思う。 例えばハリウッド映画の主人公みたいに、ヒロインを救うため単身乗り込んだりはしない。乗り込む場合でも、 びくびくしながら3人まとまって行動する。共感して、だからおもしろいと感じるんじゃないだろうか。

■トンカチと花将軍(舟崎 克彦)

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学校の図書館で借りた本。サヨナラという犬を追って不思議な森に入るというお話。 登場人物の名前や性格、それから妙に書き込まれた地図がおもしろくて、印象に残っている。
妹にも勧めて以来、ふたりしてお気に入り。 今は文庫版しかないのが残念。


●追記
花がなくなってしまった世界。主人公は好きな女の子の誕生日プレゼントに花をあげたくて、森に入っていく。 森の中、サヨナラが逃げてしまって、というお話。
「おばあちゃんのシリカゲル」や「それそれ、絶対それ」という名台詞は、妹との間で今でも使われる。


Q02. 10代のころに読んだ、おもしろかった本を2冊教えてください。

■ロードス島戦記シリーズ(水野良)

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初めて読んだ角川スニーカー文庫。友達から借りて、四日くらいかけて読んだ小説。 それまで読んでいた児童文庫や偉人伝とはまったく違うおもしろさだった。王道ファンタジー。
 魔法使いや、エルフ、ドワーフ、ゴブリンといった亜人間たち、ウィル・オ・ウィスプ、シルフ、サラマンダーといった精霊 の活躍するファンタジー世界での冒険記。人の出会いや別れや英雄の格好よさなど、 それまでファミコンでしか触れてこなかったものが、ドット絵ではなくて、ちゃんと人物として触れられる感触にとてもドキドキした。
 友達に本を返すと、以後毎月少ない小遣いを貯めて一冊ずつ買っていって、発売したばかりだった最後の7巻は誕生日プレゼントに買ってもらった記憶がある。 その月の小遣いはもう使っていて、来月まで待たないといけない! という中での出来事。思えばこのシリーズが自分で買った最初の本だったかもしれない。 また、このロードス島に出てくるモンスターたちがたくさん載っていた「モンスター辞典」という本を図書館で見つけ、 ロードス島のルーツは更に「指輪物語」に遡ることを知った小学生時代。 何が言いたいかというと、それくらい鮮烈な衝撃を受け、思い出のある小説だということ。 残念ながらアマゾンでは写真がなかったのだけど、表紙を見るたびに、あのわくわく感と懐かしさを今でも思い出す。
 そうして以後、今で言うライトノベルの分野に足を踏み出したのでした。最初の一歩。

■封神演義(安能務)

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当時、ジャンプで藤崎竜の漫画版封神演義が連載されていたのは知っていた。 が、るろうに剣心のコミックスを買って、中身が既に全部立ち読みしたことのある内容だったことにショックを受けた後だったので ジャンプは立ち読みしないようにしていた、その頃。あくまでジャンプとは別に買って、読んだ本。 三国志と並ぶ中国三大奇書だか四大奇書だかのひとつと聞いて手を出した全三巻。 これを読み終えてから藤崎竜版を読み、「おー、これが黄飛虎かぁ」と思った記憶がある。
 中身は、仙人たちの物語。藤崎竜版のアニメだかゲームだかには「仙界大戦」と銘打ってあったように、仙人同士が戦うお話。 仙人だからして、みな長生き。秘密兵器たる宝具を駆使して派手に大雑把に時に人間味くさく戦う。 吉川三国志と違ってどこか文章が淡白な印象を受けた。が、それでもなお面白いと思ったのは、物語に魅力があるからなんだろうなぁ。
 藤崎版の封神演義の原作がこの安能版だったことを知ったのは読み終えてからだったような気がする。 比較的長いので、読み終えた後はすごく古代中国な余韻が残っておもしろい。
 藤崎版を無視しての一番好きなキャラは申公豹。次に好きなのは竜吉公主。彼ら彼女らは作品ごとに結末が違うと聞いて、申公豹が最後どうなるのか、 竜吉公主が楊ゼンとくっつくのかどうかを確かめるために、他のバージョンをふたつ読んでみた。伝奇てのはこういう楽しみ方ができるのもおもしろいところのひとつ。 よくわからないから好き勝手できる。
 


Q03. 最近読んだ、おもしろかった本を2冊教えてください。

■スラムオンライン(桜坂洋)

オンラインゲームを舞台にした小説。
オンラインRPGではなく、 格闘ゲーム、余り詳しくはないけれど、バーチャファイターに端を発する、ああいう3D格闘ゲームのオンライン版。 攻撃と防御と投げの関係がじゃんけんのような三すくみになっている、と中に書かれていて、同じ事を友達から聞いたことがある。 多分、そういう意味でのリアルさはあるんじゃないかと思う。読んでて(できないくせに)3D格闘ゲームをやってみたくなった。
 全部が全部そのオンラインゲームの中の話ではなく、大学生の主人公は授業に出て出席を稼いだり、抜け出して街をうろついたりする。 出てくるキャラクタは少ないのだけど、オンラインゲームをやっていて感じる「いろんな人がいるなぁ」という思いをふと感じさせるキャラクタたちがかっこいい。 自分の考えを持って行動して、憤ったり闘ったり、そういう「熱い」生き方は、リアルではリアリティがない(変な言い回しだけど)けれど、 ゲームの中ではあってもいいんじゃないか、と思わせてくれる。ゲームの中では格好付けてたって変じゃないよね、と。いや、実際やったら変かもしれないけど、そう思わせてくれる。 淡いヒロインとの関わりとか、主人公の一見冷めたせりふややりとりは雨の日のしっとり感を思わせてくれておもしろい。
 今は、オンラインゲーム! と言ってちょっとした「新しさ」の視線で迎えられるけれど、これと同じやり方ではすぐに新しさは認められなくなるような気がする。 .hackが、オンラインゲームからログアウトできない、という方法で物語を展開したように、他の、もう少し変わった切り口が編み出されるんじゃないかなぁ。
 気が向いたらもう一度読んでみよう、と思わせる小説でした。

■アジアンタムブルー(大崎善生)

透明感のある・静かな・きらきらした・綺麗な・悲しい小説。
でもそうした透明感やきらきらは、例えば新幹線が目の前をすごいスピードで通りすぎっていってその風にどうにか耐えているような危ういもので、 決して成分の100%が明るい材料というわけではない。愛しい人がね、どうしようもなく、死んでいってしまう。冷静であろう、バランスを取ろう、 後悔しないために今どうすればいいかを考えよう。そういう意志が言葉や行動の端々から伝わってきて、それが最良だと思うけれど、思うんだけど、でもそれすら届かない。どうしようもない。 とても危うくて、だから透明感もきらきらも悲しさも。
 フランスのニースに、いつか行ってみたいと、そう思う。


Q04. 徹夜して読んだ、おもしろかった本を2冊教えてください。

■リング(鈴木光司)

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いや、ほんとね、自分でも馬鹿だったと思うよ。
別に徹夜しようとか思ったわけじゃなくて、止まらなかっただけ。 夕方から読み始めて、中盤既に真夜中。ふ、と背中に視線を感じて、 寝ようと思ったんだけど、怖くて眠れず。結局最後まで読みきってしまった。
恐怖には耐性があると思ってたんだけど、甘かった……。うっかり「感覚」を想像するんじゃなかった。 読み終わって、おもしろくてそのまま「らせん」に突入。当時まだハードカバーだったループにまで手を出す始末。 怖いもの見たさで恐ろしい……。
映画版もあるけれど、そう怖くは無かった。夜中に天井からの視線を感じたほうがよほど怖いよ……。

■銀河英雄伝説(田中芳樹)

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三国志が中国古代の歴史ドラマだとするなら、こちらは未来のスペースオペラ。 友達が紹介知れくれたのだけど、友達は「歴史物だよ」と教えてくれた。 事実、最初の数十ページは舞台となる時代の説明に費やされている。 この説明を読むだけでも十分おもしろいのだけど、本番は、ここから。
何がおもしろいって、全部がおもしろいんだけど、例えば登場人物。帝国側のラインハルト、 同盟側のヤン、このふたりの対比をはじめ、それぞれがそれぞれの考えをしっかり持ち、 作者に動かされている、という感じは一切しない。まるで、実在するかのように。 好きなキャラを上げろと言われても多すぎて選べない。
少しずつ古本屋で集めて、全10巻(新書版)を集め終えたとき、二回目を読み始めた。 1日目4冊、2日目4冊、3日目2冊という勢いで読破、徹夜しましたとも。 ああ、書いてたらまた読みたくなった。久しぶりに読み返すかな。


Q05. 何度も読み返した本を2冊教えてください。

■ティファニーで朝食を(カポーティ)

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自分の名刺の住所欄に「Traveling(旅行中)」と書く格好よさと、 漠然とした不安「嫌な赤」な気分になってティファニー・ショップに逃げ込みたくなる不安感・焦燥感を持つホリー。 そのホリーに共感と憧れを感じたせいか、何度も読んだ。読むと落ち着けるというかなんと言うか。
因みに映画版はチラッと見ただけで止めてしまった。原作の小気味良いセンスがなくなっていし、 聞くところによると、ホリーがティファニー・ショップの前で朝食を食べるシーンがあるとか無いとか(回想シーン?)。 原作では比喩として言っていただけなんだよ! 脚本家、出て来い! って感じ。それにホリーが娼婦という設定。娼婦、ねぇ。オードリーは嫌いじゃないんだけどなー。
以下好きなセリフのひとつを引用(P.58)。飼い猫を撫でながら。
「かわいそうにね」彼女は猫の頭をくすぐりながらいった「このおバカちゃんはまだ名前ももらってないのよ。 名前がないのって、ちょっと不便だわね。でもあたしには、この子に名前をつける権利なんてないの。 だれかもらってくれる人が現れるまで待たなきゃなんないわ。あたしたちは、ある日、偶然、河のほとりで めぐりあって仲がよくなっただけ。おたがいにどっちのものでもないのね。この子も独立しているし、あたしもそうなの。(後略)」
いつか、英語版で読みたい。

■こころ(夏目漱石)

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何度も読み返したのは、やっぱり焦燥感のせいかもしれない。前半、ストーリー自体はのんびりしていて、 穏やかなのに、漂う雰囲気はどこか不安定、何かが欠けている感じ。後半になるとより顕著、そしてあの終わり方。 読むことで同調して、焦燥感を消す、のかな?(カタルシス?)まぁともかく、この本も読むと落ち着ける作品。 暗いけど。
因みに、この本は友達がくれたもので、他人から教えてもらった本に入れるかこっちに入れるかで結構悩んだ。うむー。


Q06. 映像化して欲しい(あるいはされた)、おもしろかった本を2冊教えてください。

■それでも君が ドルチェ・ヴィスタ(高里椎奈)

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講談社新書の、密室本シリーズのひとつとして書かれた作品らしい。古本で買ったので既に開封はされていたけど、 いわゆる「袋とじ」加工が全ページに施されている(解答編、みたいに最後の数ページだけではない)。 つまり立ち読みできない。また、内容も密室に関する作品が書かれたらしいこの企画。 最初はどうしてこの話が密室なのかわからなかった。さっぱり。最後まで読んで、なるほど! と。 本当に綺麗にだまされてしまった。そんな可能性があるなんて。
作品は独特な、不思議な雰囲気で始まる。ふわふわとした、どこか落ち着かない感じ。童話を読んでいるような、夢を見ているような。 この雰囲気がきっとアニメか何かにぴったりなのではないかと思う。牧歌的な音楽と、綺麗な、じんわりと目にしみる風景を見てみたい。
ちなみに続きが出ている。三作で完結らしい。読もう読もうとは思っているのだけど。

■The S.O.U.P.(川端裕人)

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実を言うと、この人の文章は余り好きではない(と言っても、他に読んだのは「夏のロケット」だけだけど)。 どこか素朴で、格好いい話なのに、どうにもそぐわない気がしてならない。夏のロケットでもそう思ったし、この本も最初はそう思っていた。 が、最後にはこの文体だからこそ、と思えてきた。多分、読み進めていくうちに文体がなじんだのだと思う。読み手と、作品に。さておき。
文句無く、おもしろい、と言える作品だった。キーワードはハッカーやクラッカー、オンラインゲーム、ネットワーク及びネットワーク社会、人工生命、指輪物語、ゲド戦記、米国、といった感じ。 読み始めは電撃文庫や角川スニーカー、いわゆるライトノベルかと思っていたのに、全然違った。もっと堅実で現実的。 鈴木光司の「ループ」に少しだけ似ている、と思った。
キーワードだけでもおもしろそうだったのに、中身は予想以上におもしろかった。かっこいい。 しっかりとした、ていねいなストーリー展開。無駄の無い配置。予想も出来なかった壮大なテーマ。 ハッカーの格好よさ、ネットワークと生命、世界創造についての思想。
ちなみに、文庫も出ているらしい。文庫の表紙も格好いいけれど、このハードカバーも捨てがたい。 本棚に飾っておきたい本と、格好いい本と、最近読んだおもしろかった本のどこに配置しようか迷って映像化して欲しい本に配置。 勿論、映像化すると失われてしまうものもあるのは重々承知で、映画化して欲しい。しっかりしたスタッフと予算で。 ネットワーク描写や出てくる用語を補えば、最高にかっこいいハッカー映画が出来上がると思うのだけど。
あぁ、それから、この話は決して絵空事ではない、のかもしれない。


Q07. 読んで泣いてしまった本を2冊教えてください。

■戦略拠点32098 楽園(長谷 敏司 )

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本屋にやたら平積みされていたので買ってみた本。SFもの。 SFものってストーリー見ただけじゃおもしろいんだか、おもしろくないんだかよくわからないことが多い気がする。 これはあらすじを見ただけでは、そう面白そうとは思わなかった。読んでみてびっくり、おもしろかった。
ある星を舞台にしているのだけど、その星がそう広いわけではなく、だからこそリアリティを持って広さを感じられた。 草原と、少ない登場人物がよかったのかもしれない。 そういうリアリティもあって、とても泣きました。うわー。
余談だけど、戦略拠点、まではいいとしても、32098の部分を覚えられない。 かといって戦略拠点あるいは楽園、だけでは作品名として通じにくいような気がする。うーむ。

■冷静と情熱のあいだ Rosso(江國 香織)

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赤と青バージョンがあって、赤の方は「あおい」の女視点で江國 香織が、青の方は「順正」の男視点で辻仁成が書いている。 この仕組みと、話題性と、江國が好きだったので買った本。因みにこっちの赤から先に読んだ。
大体5分の1くらいまで読んだあたりからずっと泣いてた気がする。泣きすぎ。
青の方もその後すぐに読んだけど、赤ほどおもしろくはなかった。辻仁成の小説って初めて読んだんだけど、あんまりしっくり来ない文章だった。 というわけで、シリーズではなく、赤のみをここに選びました。映画は何を考えて作ったんだかさっぱりわかりませんでした。 別に無理して映画化しなくてもよかったのに……。
さておいて、赤は、江國の文章は、間違いなく波長が合って、おもしろかった。


Q08. 人から教えてもらって読んだ、おもしろかった本を2冊教えてください。

■火星年代記(レイ・ブラッドベリ)

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その昔、チャットで薦められた本。SFの話をしていて、レイ・ブラッドベリは大御所で読むと良い、と言われて読んだ本。
外国の翻訳物だからなのか、どこかぼんやりとした淡々とした雰囲気で進むお話。 最初はそうおもしろいとは思わなかったのだけれど、じわじわおもしろくなってきて、 最後には「もう終わっちゃったのか!」と思うまでになっていた。余韻もじわじわ。
SFは設定だけじゃなくて文章や雰囲気も大切なんだなー、とはこの後ブラッドベリを何冊か読んでの感想。 ああこうして、思い出すたびにどんどんと読みたい本が増えるなぁ。

■プレーンソング(保坂和志)

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今まで読んだ中で一番おもしろかった、と言って薦められた本。 おもしろい、というのは他の本と質を異にして入るけれど、 文句なく、おもしろい、と言い切れる小説。 どんな大事件が起こるわけでもなく、主人公たちがひどく変わった人物というわけでもない。
作者の書いた「小説の書き方の本」を読んで知ったのだけど、そしてその通りだと実感したのだけれど、 この本には不幸の影が見えない。だから読んでいてやわらかく、安心でき、おもしろい。
この人の他の本も読んでみなくては。

●追記
おもしろい、とはどういうことなのか、考え直させられた小説。


Q09. おもしろかった外国の作品を2冊教えてください。

■ロビンフッドの冒険

読んだのはこの本ではなくて、父親が子供のころに読んでいたらしい世界名作全集のような大きくて茶色い本だったのだけれどとりあえず。
あのころ秘密基地を作って遊んだものだけど、それと似たようなわくわく感を味わえた物語。 シャーウッドの森にこもっての活躍、親友との誤解や敵の罠。ロビンフッドの放つ爽快な一矢。
名作全集は他にもたくさん作品があったけれど、ロビンフッドを一番読み返していた。何度でも楽しかった。 きっと今読んでも同じわくわく感が楽しめるんじゃないかなー。

■グリム童話

これは母親が昔読んでいた全集を読んでいた。(写真の初版グリム童話も数年前に買って読んだけれど) 童話のあの独特の雰囲気は何だろうね。これは文句無く今読んでも面白い。色あせないおもしろさ。 童話には童話のルールがあって、例えばやさしい継母は大抵存在しない。これはイソップだけど、狐はずるがしこいとか。 そのルールをやさしく感じながら、その上で不思議を味わえる。動物は大抵放せるし、試練は大抵みっつくらい。 多分、今ある童話のルールのほとんどは、グリム童話で学んだんだと思う。ああ、すごいよグリム兄弟。
数年前に、本当は怖いグリム童話みたいな作品が流行ったけれど、だからどうなんだろう。怖かろうと怖くなかろうと、 童話のルールには従っているのだし、おもしろさは変わらない。えーとつまり、初版にばかりこだわったってどうしようもないよ、ということ。
グリムは結構読んだのに、アンデルセンやイソップはあんまり読まなかった。何でだろう……?


Q10. おもしろかった長い本を2冊教えてください。

■女新婦の理(京極夏彦)

ページ数にして850ページ。一冊の本としては今まで読んだ中で最長かもしれない。 読みやすく、そして読み応えがある作品。
京極を読み終えるたびに思うのは、もしこの本を読んでいなかったら、 自分の読書人生の何割を損したか、ということ。それくらいおもしろい。 事件そのものもおもしろいけど、余剰知識は非常に勉強になる。 今回だったら女系社会についてとか、いつも通りの宗教系知識とか。 この部分だけ読んでいても満足できるくらい、京極堂の説明はわかりやすい。
この作品はシリーズの中の5作目。キャラもそれぞれ性格がつかめる様になり、多分こういうのを 脂の乗った、と表現するのだろう。探偵がまともに活躍していたのが非常に楽しかった。 何人かのキャラクタの視点で進んでいくんだけど、切り替えもお見事。
古本屋でも高いのがちょっと難点だけど、京極夏彦、おもしろい。いつか京極の本を片手で支えられるようになりたいもんだ。

■三国志(吉川英治)

歴史物語、三国志演義。全8巻。西暦200年ごろの中国の歴史「正史三国志」を物語風味にしたもの。 七実三虚(七割の事実と三割の嘘)と言われ、読み物としておもしろく仕上がっている。
好きな人物を選べないくらい登場人物が多い。主人公は一応劉備だけど、敵役の曹操や呂布もいい味を出している。 みんな格好いい。銀英伝や指輪物語と同じく、歴史物語。指輪物語がファンタジー要素、銀英伝がSF要素を加えたものだ他としたら、 これはプレーン。純粋に歴史物語のおもしろさを描いている。 各人物の思惑だとか、強さだとか、時機や駆け引き、歴史ドラマ。まさに、漢たちの物語。
一読目はわからないけれど、1巻では、後の大物がごろごろ登場している。 まだみんな若く、後の活躍を考えるとそれだけでわくわくする。 また、一番盛り上がる孔明登場以後は何度読んでも面白く読める。本気で怒ったり、本気で泣いたり。
「何度も読み返した本」と「無人島に持って行きたい本」と「格好いい!本」と「長い本」のどれにしようか迷った作品。


Q11. かっこいい! と思った本を2冊教えてください。

■流しのしたの骨(江國香織)

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二番目に読んだ江國香織の作品。 主人公(確か主人公だったと思う)が夜中に出かけていって、何をするでもなく駅前をうろつく、という行為を、とてもかっこよく感じた。 読んだ当時、夜中に出かけるなんて経験がなく、夜外出するのは夏の花火くらいだった。江國香織は、変な家族を書いてみました、と言っていたけれど、 そうした奇妙さに、とても憧れを持ってしまった。
桜の下には死体が埋まっている、というのと同じ感覚で、流しのしたには骨が埋まっている、という母親。 ほんの少しずれた感覚、それを気にせずまっすぐに幸せを感じられる家族。憧れてしまう。 江國作品に触れ始めた頃だったので、 ひらがな遣いにぞくぞくしながら読んだことを覚えている。
今でも実は、無意味に夜中に外出してまぶしいところをうろつく、という行為に憧れを持っていたりする。もっと都会に住んだら実行してみたい。

■燃えよ剣(司馬遼太郎)

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かっこいい、という言葉で最初に浮かんだのは燃えよ剣、土方歳三。新撰組、と言っても実際は色々な人がいたんだろうけど、間違いなく彼の思想の影響が大きく出ているはず。 信念を持って生き、まっすぐに貫こうとするその姿勢。幕末は彼にとってとても合った時代だったように思う。下巻の最後は震えが来るほどだった。
幕末には、こうした人物がたくさんいたんだろうと思うが、司馬遼太郎の文章がさらりとそれを掬い取って描いている。 未だに彼の文章が、何故おもしろいと感じてしまうのかわからない。文章自体はとてもシンプルで難しい言葉を使ったり、すごく工夫があるようには見えないのに、このおもしろさ。 映画化された梟の城はさしておもしろいと感じなかったので、彼の文章が歴史物を書くのに合っているのかもしれない。


Q12. 次の中から質問を選び、全部で2冊、教えてください。

12-3. 何かの「きっかけ」になった本を教えてください。
12-4. おもしろかった短編集を教えてください。

■龍は眠る(宮部みゆき)

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超能力を持つ少年の話。ある日母が、「あんたは好きかもしれない」と紹介してくれた本。 高校に入ってすぐだったかな? 直木賞を貰う少し前。 それまで読んでいたのは、角川スニーカー文庫であるとか、富士見ファンタジア文庫、 児童文庫ばかりで、新潮文庫を読んだのは覚えている限り、この本が初めて。 読み終えて、新潮文庫の宮部みゆきをどんどん買い、角川や講談社、文春文庫にまで。 そうして、いわゆる「ライトノベル」という分野以外に足を踏み出したのでした。
宮部みゆきという作家を知ったきっかけであると共に、新しい分野へと足を踏み出した、きっかけ。

■O・ヘンリ短編集(O・ヘンリ)

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写真は日本のではなくて外国のもの。日本のアマゾンではカバー写真が無かったので強引に。
短編集、といえばこの作品。クリスマス、夫は時計を売って妻の髪飾りを、妻は髪を売って夫の時計鎖をプレゼントしあった、 という「賢者の贈り物」や、あの葉が落ちるころには……という「最後の一葉」といった有名なお話が含まれている短編集。
この作品の何がすごいって、話自体もおもしろいんだけど、その構成、魅せ方がすばらしい。 こんな話があってね! と、人にそのストーリーを語ったってそのおもしろさは伝わらない。 あの文章、雰囲気があってこそ、十分にそのおもしろさが伝わるのだと思う。
本当に短編で、ひとつひとつの作品は短いのに、実はこの本も徹夜気味に読んだことがある。 もうひとつ、もうひとつだけ、とどんどん読んでしまう、その魅力。新潮文庫で全3巻。


Q13. ずっと気になっていて、やっと読んだおもしろかった本を2冊教えてください。

■ブギーポップは笑わない(上遠野浩平)

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ブギーポップシリーズの第1作目。
発売! という広告を見てすぐに本屋に行ったのだけど見当たらず。 数件本屋をめぐっても見当たらず。その表紙の絵と、宣伝用謳い文句に惹かれてずっと気になっていた。
そして半年後、2作目が出たのを本屋で知って、1作目を探したけれどその本屋にはなく、しばらく本屋をめぐってやっと見つけた。
内容は、以後の本の好みを変化させるほどのおもしろさ。それまで読んでいた角川スニーカー作品には無い、しっかりしたテーマ(後書きになってやっと理解するんだけど)や、 主人公大活躍! のありきたりな展開とは全く違う色々な視点からの物語。いやぁ、色々と影響を受けました。 ……最近は、どうなってるんだろう。

■指輪物語(J.R.R. トールキン)

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小学生のころ、もっぱらロードス島戦記だとか、ドラゴンクエストだとかに囲まれていたとき、 すべてのこうしたファンタジーのルーツは「指輪物語」にあり、と聞いて読もうとした本。
図書館で借りたのだけど、読んでみると途中で飽きてしまったり、寝てしまったりとどうしても読めない。 またしばらくしてから読もう、とその時は断念。
中学生になって挑戦、断念。高校生になって挑戦、断念。そうして大学生、映画化に押されて、今度は図書館ではなく、 ちゃんと買って読み始めた。なんとまぁ、これがおもしろいおもしろい。今まで散々途中で止めてしまったのは何だったんだ、ってくらい。 まるで匂いまで感じられるかのような描写や、実在しない方がおかしいと思わせるほどに作りこまれた世界観。 影響を与えるわけだ、と納得しつつついに読了。 訳が新版になったことと、借りるのではなく買ったことが原因だろうか。あるいは本の読み方が変わったのかもしれない。
足掛け10年! 映画も完結したことだし、読み返してみようかな。


Q14. すごい勢いで読んでしまった本を2冊教えてください。

■魔術師オーフェンはぐれ旅シリーズ(秋田禎信)

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バイト代を持って本屋に行って、棚から一作目から最新刊までごっそり買ったシリーズ。 ごっそり大人買いは夢で、別に、買うのはこのシリーズじゃなくても良かったんだけど、 一作目は借りて読んでいて、そのおもしろさを既に知っていたので。躊躇無し。 余韻を楽しむつもりでゆっくり読もうと思っていたの、(当時にしては)恐ろしいぐらいのスピードで読んでしまった。 ギャグ編である無謀編も一緒に。
文章の書き方も衝撃的だったし、キャラクタの造作も魅力的だった。 近代化しつつヨーロッパのような舞台も新しく感じた。 魔法の登場するファンタジー小説って大抵中世ヨーロッパて感じだったし。 最強の概念が揺らぎ続ける作品。好きなキャラクタは、アザリーはじめたくさん。

■戯言シリーズ(西尾維新)

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読んでは本屋、読んでは本屋の繰り返し。とりあえず出ているシリーズは読破。 世間で騒がれている理由がわかる作品だった。
ミステリとしてもおもしろいが、文章を読むだけでも、キャラクタのやり取りを見ているだけでおもしろい。 オーフェンが最強とは何か、という作品ならこちらは天才とは何か、かもしれない。
影響力が強くて、読後は、主人公の「いーちゃん」の言葉遣いで物事を考えてしまう。書いてしまう。 色々な意味で最先端、かな?

●追記
サイコロジカル、が一番好き。


Q15. 年を取ってからもう一度読みたいな、と思った本を2冊教えてください。

■若き日の思い出(武者小路実篤)

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タイトルもまぁ、年を取って読むにはぴったりなのだけど、恋を描いたこの作品は内容がぴったりだろう、と。 ストーリー自体は何てことの無い恋愛小説。男性の主人公がある女性を好きになって、という感じ。 時代が古いだけで、その感覚は変わらないんだなぁ、と感じさせてくれる。 何がすごいって、その気持ちへの共感がすごい。主人公と一緒になって、ほんとにドキドキする。一喜一憂。 嫌われたらどうしようでも近づきたい、て感じのあの感覚を、追体験できる。
似たような武者小路実篤の作品「愛と死」「友情」と比べてしまって、この作品の評価が高まる。 読むんだったらこの二作を先に呼んでから「若き日の思い出」に行った方がきっと読んでて幸せになれる(と思う)。 どれも短い作品なのに、どうしてこんなに気持ちを動かせるのかなぁ。「愛と死」とか読んだ後しばらく落ち込むほどだった……。
さておいて、果たして年を取ってもこのドキドキ感を味わえるのだろうか、味わいたい、という理由でここに配置。

■だれも知らない小さな国(佐藤さとる)

表紙絵

コロボックルの話。コロボックルってのは北海道の小人のこと。シリーズ物で、コロボックルと言えば佐藤さとる、というイメージがある。 この話の何がすごいって、「ほんとにコロボックルっているんじゃない?」って思わせられること。 裏山とか、田舎の畑とか、風も無いのに葉っぱが揺れたら、コロボックルだ! って。 そういうリアリティもあるし、主人公がだんだん仲良くなっていくところとか、秘密について知っているわくわく感とか、 知らない町を探検したり、想像を巡らせて物語の中に入り込んでみた、「ひみつきち」のあの感覚によく似ている。 決して強い文章ではなくて、大人が子供に御伽噺を語るようにやさしく描かれている印象がある。 今の子供たちにもぜひ読んで欲しいなぁ、と思う。きっと一財産。 それからもちろん自分も、年を取ってもう一度あのわくわく感を味わいたいと思った時に読んでみたい。 あぁ思い出すだけでもわくわくするなぁ。


Q16. タイトルが印象に残っている、おもしろかった本を2冊教えてください。

■魔法使いになる方法(ダイアン・デュアン)

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小学生の終わりか、中学生の始まりごろに読んだ本。タイトルに惹かれて手に取った。 裏表紙のあらすじを見ると、いじめっ子から逃げた先の図書館で、主人公が 「魔法使いになる方法」という本を手に取る、と書いてあった。
なんとまぁ、そりゃあこんなタイトルの本があったら誰だって手に取るさ!
話は、当時にしては難しかったけど、今でもおもしろかった、と覚えている。 本当に魔法使いになれるんじゃないか、という雰囲気があってドキドキする。今でも。

■西の魔女が死んだ(梨木果香歩)

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本屋で一度見ただけでタイトルをしっかり覚えてしまった。 西の魔女って言うとオズの魔法使いを思い出して、そんな感じの話かと思ってあらすじを見るも、 どうやらそうではないらしい。ふーん、違うのか、と買わずに本棚に戻すこと何度か。
終に妹に背中を押されて買って、読んで、涙。
プレーンソング的に、丁寧に日々のおもしろいことをつづられていて、特にストーリがなくてもきっとおもしろかったと思う。 こちらも魔女、魔法使いになれそうな雰囲気があって、「魔法使いになる方法」より現実的。 というか比較的実践できそう。
タイトルも印象的、文の書き出しも印象的、そして最後の一文が何より。 わかっていても読み返すとまた涙が出てくるんだろうなぁ。


Q17. 無人島に行くなら持って行きたい、と思う本を2冊教えてください。

■じょうずなワニのつかまえ方(ダイヤグラムグループ)

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小さなころ読んだことがあって、つい最近やっと再会できた本。役に立つのか立たないのか、 そうした知識をたくさん集めた雑学集。例えばローマ法王に拝謁する方法、トマトの皮のむき方、 クロコダイルとアリゲータの見分け方、悪夢を見ない方法、風力の表し方、巨大なピラミッドを築くには、 六角形のかき方、すばやくビンの水を空にするには、オーケストラの席の決め方、などなど。
実際無人島で役立つ知識もあるし、そうでなくとも読んでいるだけで退屈しないだろうと思う。
ちなみに、文庫版が出ているけれど、単行本からいくつか知識が削られている模様。 単行本版にはミイラの作り方が書いてあったんだけどなぁ。

■新明解国語辞典(金田一京助)

通称新解さん。ただの辞書とは一味違う。この本もまた、読むだけで暇つぶしになるだろうし、 役に立つ知識もたくさん入っている。無人島にはぴったり。 お気に入りなのは動物園の説明。
「生態を公衆に見せ、かたわら保護を加えるためと称し、 捕らえて来た多くの鳥獣・魚虫などに対し、 狭い空間での生活を余儀無くし、飼い殺しにする、人間中心の施設」
……変な辞書。絶対感情が入っている。これは第4版の説明で、残念ながら第5版では変わっている。というわけで持っていくのなら4版がいい。 ああ、あと、どんな本を持っていったって、いつかは必ず読み終えちゃうわけで、きっと自分で何か話を書きたくなると思う。 その時、辞書が手元にあると便利なんじゃないかなー、というのも選んだ理由。 さ、古本屋に行って、無人島用の4版を準備しないと。


Q18. いつも本棚に並べておきたい、と思う本を2冊教えてください。

■色の名前

読んだのは、確かこの本のポケットサイズだったと思う。 たくさんの色を紹介して、その名前の由来を説明している本。 色辞典としてどうなのかはわからないけど、読み物としてとてもおもしろかった。 例えばコペンハーゲンブルーは、コペンハーゲンで生産されるお皿の色であるとか、 漆黒は、漆を塗ったあの黒であるとか(字を見れば当然なんだけど)、 毎日少しずつ読んでいったのを覚えている。 親所有の本なので自分の本棚には置けないけど、いつかこのデラックス版を手元におきたい。

■月の本―perfect guide to the MOON(林 完次)

月について、天文学的に、美術的に、神話的に色々な角度から解説した月のガイドブック。
高校の図書館に入荷したのを、図書委員権限で1番に借り、そのまま一ヶ月くらい借り続けていた。 写真が綺麗で、時々無目的にぱらぱらと開きたくなる。
しぶしぶ図書館に返した後、何度か買おうと思うも、高くて断念。 今見るとアマゾンで中古が安い、けど、やっぱり新品でほしいなぁ……。


Q19. もっと早く読みたかった! と思った本を2冊教えてください。

■時の果てのフェブラリー −赤方偏移世界−(山本弘)

デュアル文庫が創刊されて間もない頃に発売された本だと思う。 買ったけれど、ずっと本棚に置いたままだった。
読んでみて、ああこんなにおもしろかったとは、と驚き、少し後悔。 もっと早く読んでおけばよかった。
作品内容はSFで、外国のSFなんかよりもより「読みやすく」書かれていた。 SF好きに受けそうな設定や用語、展開は角川スニーカーとか、電撃文庫にありそうな感じ。 それらがバランスよく書かれていた。今週はSF週間だ! となってしまいそうなくらい SF欲を刺激する作品だと思う。

■坂の上の雲(司馬遼太郎)

司馬遼太郎という作家は、ずっと名前しか知らず、その作品も全く読んだことがなかった。 亡くなったというニュースを聞いたときも、そう驚かなかったのは、どれだけすごい人か知らなかったから。
ある時、昔読んだことのある母が「もう一度読みたい」とこのシリーズを買い始めたのを契機に読み始めた(文庫で全8冊)。
読み始めたのと同時に、ものすごく悔しくなった。どうして生きておられる間に読まなかったのだろう、と。 もっと情報を集められたかもしれないし、注目してテレビや新聞を読んだかもしれないのに。 というわけで、この作品。
日露戦争を、秋山兄弟という授業では習わなかった英雄を中心に語っている。 淡々と語っているだけに見えるのに、どうして司馬遼太郎はこんなにもおもしろいのだろう。 ちゃんと主人公たちの傍らに立って作品が読めるからなのかもしれない。 軍の上層部や愚鈍な人物に、どれだけ本気で怒りを感じたことか。二○三を攻めろー!!


Q20. 衝動買いして読んだ、おもしろかった本を2冊教えてください。

■ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ(滝本竜彦)

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本屋に行って、あ! と思って衝動買い。要するに絵とタイトルに惹かれた。 家に帰って、以前あるサイトでこの本が高く評価されていたことを思い出した。 ああ、この本だったのか、と。 文庫ではなくて1500円もするのに、貧乏性なのに、よく買ったもんだ。
内容は馬鹿みたいに(ほめ言葉)面白かった。 描写とかせりふとか、ああこんなのを読みたかったんだな、と。 そっかー、そうだよな、と思いつつ読んで、 読み終わってすぐ、同じ作者の「NHKにようこそ!」を買いに行った。 読み終わって思ったのは、作者、すごい! 京極とか森博嗣とはまた別のすごい。
今は文庫版も出ているけど(そしてあとがきは西尾維新が書いているけれど)、 今ぺらぺらとページをめくってみて、ああ衝動買いしてよかった、と思う。 何となく、文庫だとこの迫力は出ないんじゃないかという気がする。 文庫版を読んでないからわからないけど。要するに、後悔なんてしてません、ということ。

●追記
本人が引きこもりだったというだけあって、説得力がすごい。
ごく普通に考える妄想を、ちゃんと書けている、と思う。あぁこんなやり方があったのか、って。

■十二国記シリーズ(小野不由美)

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買ったのは水野良の「ロードス島伝説」が書かれていた頃で、 ロードス島伝説もこのシリーズも、表紙が山田章博さんの絵だった。 本屋で、隣同士に置かれていたのを衝動買い。
最初は「月の影 影の海」で、これは上下シリーズ。 上のストーリーがこれでもかっ! というくらいに暗く、 だからこそ下でそれらの反動がすごい。最後のページでじんわり涙した。 今まで出た中で好きなのは「図南の翼」という作品。 読んでて鳥肌と涙。何だろう、このシリーズは描写がしっかりしているのか、ちゃんと各場面をイメージできるのがすごい。
今は講談社文庫でまず先行して発売し、その後ホワイトハート文庫版が出るようになっているらしい。 なんでそんな複雑なことになっているんだか……。 シリーズは今でも続いているはずだけど、新刊はさっぱり出てくれない。

●追記
現代世界からつながる中国的な雰囲気を持つ別世界のお話。
ただの物語じゃなくて、例えば「知らないことは罪か」みたいなテーマを登場人物がちゃんと考える。 そういう意味においてもリアリティがすごくて、だからNHKがアニメ化したんだろうなぁ、と。


Q21. 教科書・授業・テストなどで知って読んだ、おもしろかった本を2冊教えてください。

■羅生門・鼻(芥川龍之介)

高校1年生の春、羅生門が教科書に載っていた。 この作品の最後の一文が「下人の行方は、誰も知らない。」となっていて、 先生がひとこと言いました。「この続きを自分なりに考えて書いてみましょう」と。 思えばこれがお話を書いた最初ではなかったか。芥川龍之介はそれまで子供向けの作品しか 読んだことがなかったので、その後買って読んだのだけど、同じ本が2冊あることにこの間気づいた。 芥川龍之介の作品なら、大抵青空文庫で読めるのに、 2冊も買うことはなかったか、と少し後悔。
作品の内容は、高校一年生にはぴったりだったような気がする。今にして思えば。 流石に教科書、よく選んである。

■ぼくは勉強ができない(山田詠美)

センター試験の過去問を解いたときに見たんだったと思う。長文読解、というやつで 作品の一部が載っていた。おもしろそうだったので、買って読んでみた。
問題になっていたのは、最後の番外編、みたいな部分で本編は随分と違った雰囲気だった。 本編の方がおもしろい。同じく過去問で見て読んだ友達は、「全然おもしろくない」と言っていたから、 割合人を選んでしまう作品なのかもしれない。内容は、「みんな正しいと思ってても中々言えないこと」をはっきり言っちゃってる感じ。 裸の王様を指摘する子供のような。余りのばっさり具合に随分と感心した。痛快。 何か小難しいことを偉そうに言いたがる年代、この作品を読んでから色々考えるといいのかもしれない。 高校生の読書会のテーマとかね。


Q22. 好きな作家さんの本の中から、特におもしろかった本を2冊教えてください。

■我らが隣人の犯罪(宮部みゆき)

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「火車」も「レベル7」も「長い長い殺人」も「蒲生邸事件」もおもしろくて大好きなのだけど、それを差し置いて、この本を。 短編集。
この本を読むまでに確か、新潮文庫のものを色々読んでいて、おもしろいことは知っていたのだけど、それでもこの本はうなってしまった。 おもしろいってこういうことなのか、と。それはトリックや謎の見せ方でもあるし、 人物の会話や考え方でもあるのだけど、短編集であるだけに、それらが際立っていたような気がする。 宮部みゆきのおもしろさのエッセンスはここにたっぷり含まれている(と思う)。言われたことはないけど、 「宮部みゆきを読みたいんだけど」と言われたらこの本を薦めるつもり。
表題作の「我らが隣人の犯罪」と「サボテンの花」が好き。

■すべてがFになる(森博嗣)

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森博嗣のデビュー作にして、以降の作品に連なる森博嗣ワールドの最初。天才を描いた作品。 謎の提示の仕方も、その解答方法も、人物の会話も、全てがかっこいい。スタイリッシュ。 読み終えて、続きがたくさん出ている、と知って非常に嬉しかった。まだこんなに読めるのか、と。
この一冊だけでも十分すぎるくらいおもしろいのだけど、でもこの作品の本当のすごさは、 後の作品を読み進めるにしたがって増加していく、はず。えー!? 本当に!? って。 Fから始まるSMシリーズ10冊、「黒猫の三角」から始まるVシリーズ、4冊の「四季」を、ちゃんと順番に読んだ方がいいと思う。
その内Fから最後まで読み直そうと思っていて、その時魅力が増すことを確信できるような、そんな作品。一度目より、二度目。


Q23. 続きを読みたい! と思った本を2冊教えてください。(シリーズだろうと無かろうと)

■NOVEL21 少年の時間

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アンソロジー。参加している作家は、上遠野浩平、菅浩江、杉本蓮、西沢保彦、平山夢明、山田正紀。 色々なジャンルから色々な作家が、でいいのかな?  これを読んだ時点で読んだことのあった作家は上遠野浩平だけで、名前を知っていたのが西沢保彦、山田正紀のふたり。 なんにせよどれもおもしろかった。この本は実は、二冊セットで、少女の空間、というアンソロジーもある。 少女の空間で書いている作家は小林泰三、青木和、篠田真由美、大塚英志、二階堂黎人、梶尾真治。 こういうアンソロジーをもっと出してほしいと思うのです。 つまり、SFかライトノベルかミステリか、大雑把に言うエンターテインメント小説の作家のアンソロジー。 たくさん作品があるからはずれも当たりも平均されていい感じ。 例えば講談社ノベルスの作家が集まって一冊のアンソロジー。京極夏彦とか森博嗣とか高里椎奈とか西尾維新とか。 こんな本が出たら絶対買う。いや、雑誌ならあるんだろうけど、文庫とか新書とか読みきりで。 もしかしたら知らないだけでそういう企画があるのかもしれない、とは思うものの未だに知らないのでこの質問でここに配置。

■徒然草(吉田兼好)

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日々思ったことを趣くままに書き綴ったおもしろ古典作品。
共感できないのもあるけれど、大抵はあぁそうそう確かに確かに、と思うことばかり。
例えば、第九十二段の現代語訳。

勉強しようとする人に、夜には明日の朝があると思い、 朝になると今度はその日の夜をあてこんで、その時になったらじっくり丁寧に勉強しようと計画する人がいる。 (中略)ほんとうに、怠け心に出るすきも与えず、やろうと思い立ったその瞬間に、すぐさま実行するということは難しいものだ。

あぁまったくその通り。思い立ったらすぐにすることができれば、どれほど効率が上がることか。
おもしろいのに、250弱ぐらいしかない。多すぎても大変だけど、もっと読みたいと思ってしまう。
ちなみにこの引用は角川ミニ文庫版からのもので、これには写真がなかったのでオーソドックスな岩波を掲載。


Q24. この本とこの本は合わせて読むのがオススメ、という本を1組教えてください。

■タイム・リープ(高畑 京一郎)

 両方とも、タイムジャンプもの。 オーソドックスな発想なものと、これは斬新だ! と感じたものと両方。どっちがどっちとは言わないけれど。
 タイム・リープの方は、何と言うか、はらはらわくわく。  次はどうなる! ってわくわくと、これ、どういうこと? っていう不安と疑問と。自分がもしそうなったらどうしよう、とか考える。  パソコンを利用したりするかなぁ、とか。
 ちなみに映画になっている。映画でもまぁストーリーは追えるけど、やっぱり小説を読んだ方がわくわく感は高い、と思う。

■リセット(北村薫)

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 んで、こちらは悲しかったり嬉しかったり泣いたり笑ったり、なに! そこが伏線に! と驚いたり。 このリセットの前に、「スキップ」「ターン」というタイムジャンプのシリーズがあって、それらもタイトルから想像できる通りのお話。 どれもそこそこおもしろのだけど、やっぱりリセットが特にお気に入り。みっつ全部読むのならリセットは最後。絶対最後に読んだ方が幸せになれる。

同じタイムジャンプでも、なるほど全然違う。何と言うか、この二冊を連続して読むと、その差がおもしろいんじゃないかと思う。 あ、読むんなら「タイムリープ」(「スキップ」「ターン」)「リセット」の順番がいいかもしれない。


Q25. これまでの質問では言い切れなかった本を、2冊教えてください。

■失踪HOLIDAY(乙一)

最初に手にしたのは、イラストを描いていたのが羽住都さんだったから。お、また何か描いている、と思って買った、つまりはジャケ買い。
元はジャンプノベルスで書いていたとか、ホラー作家だと知ったのは後のことで、この時はやさしい文章で悲しいことを書く人だなぁ、という印象。 ストーリーは、例えば、転校直前に、それまで余り話したことなかった人と急に仲良くなって、楽しくて楽しくて仕方ない、 という感じ。こんなに楽しいのに明日、転校しなきゃ、っていう中で、前向きに生きたり悲しんだり、そんな話。
角川スニーカーでは他に2冊出ているけれども、失踪HOLIDAY収録の幽霊の話が一番好き。

なんとまぁ、50冊の中に乙一の本が入っていないではないか、と驚いて、最後の質問に配置。

■若いウェルテルの悩み(ゲーテ)

上の、若き日の思い出でも同じ事を言ったけど、昔の人もやっぱりこうやって悩んだんだなぁ、と。 主人公は恋をしていて、好きな女の子に一喜一憂する様がありありと浮かんでくる。 家に招かれて喜んだり、パーティーに別の男の人と行くかもしれないと聞いていてもたってもいられなくなったり、 そうやっていらいらと不安とやきもちが混ざった中で、かけられたやさしい一言それだけで途端に舞い上がったり。 恋愛の、うまく行くかわからない、うまく行けば天国失敗すれば地獄と心の底から思うような、あのどきどきを追体験できる物語。
この作品も主人公が語り手に手紙を送る、という形式で大部分の物語が進んでいく。あぁこんな顔して手紙書いたんだろうなぁ、 と語り手の視点と読者の視点が重なるのが、気持ちを伝える一助となっているのかもしれない。
この小説を、読書感想文に指定してくれれば良かったのに、とそう思う。こんなにおもしろいのに、古典だから、と敬遠している人は多いんじゃないかなぁ……。


■回答し終わってのあとがき

2005/9/6

本当はもっと、ぱっと答えるつもりだったと言うこと。
自分の優柔不断ぷりと貧乏性っぷりは自覚していたけれど、まさか1年以上かかるとは。
回答期間は 2004/7/23〜2005/8/25 の1年1ヶ月2日。
一年以上前に書いた答えだから、当時はそれで良いと思っていた感想も、今では「足りないんじゃない?」 と思い直すようになって、余りに短い感想しか書いていないものには少し書き足しました。
完璧に魅力を伝えられるなんて思ってないけど、せめて少しでも、と。

書き終わってからも、「む、この本は『タイトルが印象的な本』だな」とか、「あの本書き忘れた」とか、まだまだ出てくるので、 追加するかもしれませんし、また一から答えなおすかもしれません。 追加するならせめて半年後、一から答えなおすなら5年後とかかなぁ。

暇つぶしにでもなったのなら、それで幸い。


あ、あとピンクと青って、何でこんな配色にしたのかさっぱりわからない。
気が向いたら他のもっと落ち着いた色に変えよう……。

■製作・配布:TEIM